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技術コラム

記事公開日

シリーズ工業炉Seminar(1)単位のはなし(その1)

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口語表現と正式な単位

私たちは日常会話の中で、体重を「キロ」、身長を「センチ」、自動車の速度を「キロ」、風速を「メートル」と表現することがあります。
しかし、これらは正式な単位名ではなく、話し手と聞き手の間にある暗黙の了解によって成立している口語表現です。

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区分 対象 会話表現 正式な単位
工業炉 コンベヤ速度 メートル m/min
メッシュベルト速度 ミリ mm/min
ファン風量 リュウベ m3/min
ファン圧力 ミリ mmAq、mmH2O
流速 メータ m/sec
ヒータ表面負荷 ワット W/cm2
RTバーナ断面負荷 キロ kcal/(hrcm2)
RTバーナ容積負荷 キロ kcal/(hrcm3)
RTバーナ表面負荷 キロ kcal/(hrcm2)

例えば「ファンの風量は30リュウベ」と言った場合、工業炉や送風機を扱う関係者の間では、一般的に30m3/minを意味すると理解されます。
同様に「コンベヤ速度は1メートル」と言った場合も、対象がコンベヤであることから1m/minを意味すると判断できます。

このように、業界内の会話表現には必ずしも厳密な制約はありません。しかし、図面、仕様書、取扱説明書、試験成績書などでは、数値の意味を誤解されないように、正式な単位を正しく表示することが必要です。

接頭語(補助単位)

非常に大きい数値や非常に小さい数値をそのまま表すと、桁数が多くなり、読み取りや比較が難しくなります。
そこで、単位の前に接頭語を付け、有効数字を2~3桁程度に抑えることで、数値を分かりやすく表現します。

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キロは小文字、その理由

接頭語は、数値が小さくなる場合には小文字、大きくなる場合には大文字を使用するものが多くあります。
しかし、キロについては例外的に、小文字の「k」を使用します。

キロが小文字で表される主な理由は、次の2点です。

① 国際単位系の接頭語が確立する以前から、小文字のkが定着していたため
キロを表す記号として小文字のkが古くから使用されており、後に国際単位系の接頭語が整理された際にも、その表記が引き継がれました。

大文字のKが、熱化学分野でケルビンの単位記号として使用されているため
大文字のKは、熱力学温度を表す単位であるケルビンの記号として使用されています。そのため、接頭語のキロと区別する必要があります。

記号 意味
k 接頭語のキロ。単位を1,000倍する kg、km、kPa、kW
K 熱力学温度の単位であるケルビン 300K

2008年には、道路標識などにおけるキロの表記を大文字のKから小文字のkへ統一するための省令改正が行われ、道路標識の表記も順次変更されました。

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温度を表す単位―℃・K・°F

温度を表す単位には、摂氏温度の℃(セルシウス度)、熱力学温度のK(ケルビン)、華氏温度の°F(ファーレンハイト度)があります。
日本では℃が一般的に使用され、工業分野では℃のほかにKも使用されます。一方、米国では、天気予報や日常会話などで°Fが広く使用されています。

℃、K、°Fは、次の式で換算できます。

℃ と °Fの換算式 ℃=(°F-32)×5/9 °F=℃×9/5+32
℃ と Kの換算式 K=℃+273.15 ℃=K-273.15

主な温度について、℃、°F、Kの対応は次のとおりです。

摂氏温度(℃) 華氏温度(°F) ケルビン温度(K) 目安
-273.15℃ -459.67°F 0 K 絶対零度
0℃ 32°F 273.15K 水が凍る温度
20℃ 68°F 293.15K 一般的な室温の目安
30℃ 86°F 303.15K 暑い日の気温の目安
37℃ 98.6°F 310.15K 人の体温の目安
100℃ 212°F 373.15K 標準気圧における水の沸点

海外の仕様書、機器の設定値、取扱説明書などを確認する場合には、温度の数値だけでなく、℃、K、°Fのどの単位が使用されているかを確認する必要があります。

コンピュータ分野におけるキロの表記

コンピュータのメモリや記憶媒体の容量では、1KByteや1KBのように、大文字のKが使用される場合があります。
これは、コンピュータが2進数を基本としていることに由来します。

2進数では、10進数の1,000を正確な区切りとして扱うよりも、2の10乗である1,024を区切りとして扱う方が都合が良いため、従来は次のような表現が広く使用されていました。

1KB=1,000B≒1,024B(210B)

この値は正確な10の倍数ではないため、歴史的な慣例として大文字のKが使用されてきました。
ただし、現在では10進数と2進数を明確に区別するため、次のように表記する方法があります。

表記 名称
1kB 1,000B 1キロバイト
1KiB 1,024B 1キビバイト

日本語における数字の読み方

日本語では、一、十、百、千と数が大きくなり、千の次に進むと再び「一」に戻り、単位が「万」に変わります。
このように、万を基準として4桁ごとに単位が変わる数の表し方を「万進法」といいます。

日本語における数字の読み方には、次の法則があります。
① 千まで進むと、次は一に戻り、4桁ごとに単位が変わります。
② 千の次は一万となり、単位が「万」に変わります。
③ その後、十万、百万、千万と続きます。
④ 千万の次は一億となり、単位が「億」に変わります。
⑤ 千億の次は一兆となり、単位が「兆」に変わります。

数字 日本語
1
10
100
1,000
10,000 一万
100,000,000 一億
1,000,000,000,000 一兆

英語と日本語の数字表現の違い

日本語と英語では、大きな数字を区切る桁数が異なります。
日本語では、万、億、兆のように4桁ごとに単位が変わります。この表し方が万進法です。
一方、英語では、thousand、million、billion、trillionのように3桁ごとに単位が変わります
日本ではもともと、漢数字を中心とする万進法による4桁区切りの表現が使用されていました。
明治初期、西洋式簿記が導入された際、福沢諭吉がアラビア数字と3桁区切りを紹介したとされています。
その結果、従来から存在する日本語の4桁区切りと、西洋式の3桁区切りが使用されるようになり、数学教育や実務の現場では、3桁区切りと4桁区切りが併存しました
その後、昭和27年に内閣官房長官の公用文書統一指示で、3桁区切りが正式に標準化され、民間にも浸透しました。

現在、日本では国際的な基準に合わせた3桁区切りが一般的に使用されています。しかし、日本語の数の単位は万進法によって4桁ごとに変わるため、カンマの位置と日本語の読みの単位が一致していません

海外における数字の読み方には、次のような特徴があります。
① 英語の数字表現と、3桁ごとの数字表記が一致しています。
② 1はone、10はten、100はhundredとなり、その次の1,000はthousandとなります。
英語では、thousandを基準として3桁ごとに区切ります
10,000は、千が10個あるためten thousandとなります。
100,000は、100×1,000であるためone hundred thousandとなります。
数字 英語 日本語
1,000 one thousand
10,000 ten thousand 一万
100,000 one hundred thousand 十万
1,000,000 one million 百万
10,000,000 ten million 一千万
100,000,000 one hundred million 一億
1,000,000,000 one billion 十億
10,000,000,000 ten billion 百億
100,000,000,000 one hundred billion 千億
1,000,000,000,000 one trillion 一兆

 

国ごとに異なるカンマとピリオドの表記

数字の桁区切りに使用するカンマと、小数点に使用するピリオドの役割は、国や地域によって異なります。

表記方式 主な国・地域 表記例
3桁ごとにカンマ
小数点はピリオド
日本、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、中国、韓国、台湾、タイ、フィリピン、シンガポール、マレーシア、ISOなど 1,234.56
3桁ごとにピリオド
小数点はカンマ
イタリア、ドイツ、スペイン、ポルトガル、デンマーク、ギリシャ、オランダ、その他のスペイン語圏・ポルトガル語圏など 1.234,56
3桁ごとに空白
小数点はカンマ
フランス、ロシアなど 1 234,56
最初は3桁、その後は2桁ごとにカンマ
小数点はピリオド
インド 12,34,567.89

フランスやロシアなどでは、3桁ごとの区切りに空白を使用し、小数点にカンマを使用する場合があります。
インドでは、右端から最初の3桁を区切り、その後は2桁ごとにカンマを入れる独自の表記が使用されます。例えば、西洋式の1,234,567.89は、インド式では12,34,567.89と表記されます。

海外の仕様書、見積書、計算書、図面などを確認する場合には、カンマ、ピリオド、空白が桁区切りなのか小数点なのかを確認する必要があります。

インドの記数法

インドでは、西洋式とは異なる独自の記数法が使用されています。
1,000までは西洋式と同様ですが、その後は10万をlakh(ラーク)、1,000万をcrore(クロール)と呼びます。

インド式単位 インド式記数法 桁数 西洋式記数法 日本語
एक (ek)
エーク
1 100 1
दस (das)
ダス
10 101 10
सौ (sau)
サウ
100 102 100
हज़ार (hazaar)
ハザール
1,000 103 1,000
लाख (lakh)
ラーク
1,00,000 105 100,000 十万
करोड़ (crore)
クロール
1,00,00,000 107 10,000,000 千万
अरब (arab)
アラブ
1,00,00,00,000 109 1,000,000,000 十億
खरब (kharab)
カラブ
1,00,00,00,00,000 1011 100,000,000,000 千億
नील (neel)
ニール
1,00,00,00,00,00,000 1013 10,000,000,000,000 十兆
पद्म (padma)
パドマ
1,00,00,00,00,00,00,000 1015 1,000,000,000,000,000 千兆
शंख (shankh)
シャンク
1,00,00,00,00,00,00,00,000 1017 100,000,000,000,000,000 十京
महाशंख (mahashankh)
マハーシャンク
1,00,00,00,00,00,00,00,00,000 1019 10,000,000,000,000,000,000 千京

例えば、西洋式で100,000と表す数は、インド式では1,00,000と表記されます。
また、西洋式で10,000,000と表す数は、インド式では1,00,00,000と表記されます。

日本語における数え方の難しさ

日本語では、数える物の形状や種類によって「つ」「枚」「本」「匹」などの助数詞を使い分けます。
さらに、同じ助数詞であっても、数字によって読み方や発音が変化します。

数字
1 ひと いちまい いっぽん いっぴき
2 ふた まい ほん ひき
3 みっ さんまい さんぼん さんびき
4 よっ よんまい よんほん よんひき
5 いつ まい ほん ひき
6 むっ ろくまい ろっぽん ろっぴき
7 なな ななまい ななほん ななひき
8 やっ はちまい はっぽん はっぴき
9 ここのつ きゅうまい きゅうほん きゅうひき

例えば「本」は、一本では「いっぽん」、二本では「にほん」、三本では「さんぼん」と発音が変化します。
「匹」についても、一匹は「いっぴき」、二匹は「にひき」、三匹は「さんびき」と変化します。

このような日本語の数え方は、数と助数詞を単純に組み合わせるだけではありません。数字によって発音まで変化するため、日本語が得意な海外の方であっても理解しにくく、説明することも困難です。

次回は、単位のはなし(その2)をお届けします。
日本の尺と米国のFeet、inchなどについての話です。

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